尾鉄廃線跡を歩く5


沢〜金平(1.7キロ)

 沢駅の跡には、ホームが残っていた。ホームの向いにはむかしながらの火の見やぐらがあり、田舎の集落の雰囲気がする町だった。さて、沢駅を通過して、そのまま農道を歩くと薮に突き当たる。その薮の向こうには橋が架かっている。

 久しぶりの大きな遺構に「おお!」と歓声がでてしまった。しかし、どうみてもこの橋は渡れそうにはない。渡れたとしても、その向こうが薮に覆われているので、もと来た道を引き返すしか無い。さっきの歓声はどこへやら...ブーブー言いながら沢まで引き返した。大きなタイムロスである。

 沢から橋を渡って、国道ルートへ。道端の自動販売機でスポーツドリンクを買って、ペットボトルに補充する。遠回りしたせいか、のどが乾いて仕方なかった。途中にきれいな滝があり、そこは見どころであった。すこしは「遠回りした甲斐があったかな?」という気になった。滝を過ぎると再び橋を渡り、廃線跡にもどる。さっきの橋からここまでは歩いてないが、時間もないので省略した。

 林を抜けると、再び田んぼの中にでた。農作業のおじさんが「そんな大きなカメラを下げて、何を撮ってるんやぁ?」と不思議そうに聞いてくる。尾小屋から線路の跡を歩いてきたと言うと、「10キロ以上あるやろう!」と驚いていた。さらに、小松まで歩くと言うと、二度ビックリしていた。「金平の駅の跡はどこですか?」と訪ねると、歩いてすぐそくだと教えてくれた。プラットホームもある、と教えてくれたのだが、それはどうやら次の金野町と勘違いしているようだった。プラットホームを探して歩いたばっかりに、金平を素通りしてしまった。まぁ、通過したので、よしとしようと思った。

金平〜金野町(1.3キロ)

 カーブを過ぎた辺りで、金平を素通りしたこと気付いた。写真を撮ってないことが気になったが、戻る気力もないので、そのまま歩いた。ここからは、比較的歩きやすい農道が続くのだが、やはり蜘蛛の巣が多くて難儀した。

 途中に畑があり、農作業のおばちゃんが「ごくろうさま!」と声を掛けてきてくれた。ご苦労様と声をかけるくらいなのだから、他にも御苦労な事をしている廃線歩きが趣味の輩を御存知なのだろうか?しかし、一人で歩いていて、たまに声を掛けてもらうと嬉しいものだ。「金野町の駅はどのへんですか?」と訪ねると、すぐそこだと教えてくれた。

 ここでひとつ大発見をした。金野町の少し手前に9キロのキロポストを発見したのだ。これはまだ、どの本にも紹介されてないはずである。妙に嬉しい気分になったのだが、まだ尾小屋から9キロ...歩かなくてはならないのは17キロ弱なのである。

 9キロのキロポストを過ぎて、すぐに金野町のホームがあらわれる。草に覆われてはいるが、明らかにホームの形をとどめている。写真の左手がホームなのだが、わかるだろうか?写真では非常に分かりづらく残念である。


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